漫画を深く読む(1) 「夕凪の街 桜の国」

何気に漫画を読んで、「面白かったな〜」と思われることがあると思います。
面白いと思うのは当然のことながら書き手が読者に面白い、印象に残そうと思わせるように意図して作っているからです。
ここでは書き手の仕掛けに着目しながら漫画を深く読んでみたいと思います。



夕凪の街桜の国
今回はレビューした「夕凪の街 桜の国」を取り上げてみたいと思います。
若干ネタバレを含みますのでご注意ください。

(参考)「夕凪の街 桜の国」のレビューへ
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過去表現の区別

過去と現在が交錯する場面では
「物や状況を介してゆったりと思い出される過去にはうすい線」
「突発的な思い出しにはコマの外枠を黒く」
といった過去表現の区別が見られる。

過去の表し方

上記の例は「桜の国(2)」の各シーン
上はゆっくり思い出される過去の例
下は突発的に思い出される過去の例

対比表現
対比

右シーンは「夕凪の街」P26
左シーンは「桜の国(2)」P66より
どちらも上を向いており、自分を縛り付けているものへの決別を表現しています
何かとは皆実は自分が経験した原爆の記憶に対して、
七波は原爆症で亡くなった母と祖母の死に向き合えない自分と偏見に対してだと思います。

その他、P15の皆実の左腕とP63の七波の左腕
P44とP59のシーンにも対比表現がみられます。

伏線

伏線とは、後のシーンのために布石としてさりげなく描かれるシーンのことです。
漫画でも当然多々使われます。

伏線

左は「桜の国(1)」P39
右は「桜の国(2)」P79より
両方とも鍵でドアを開けるシーンが描かれています。
そして両シーンともに主人公は浮かない顔をしています。
なぜドアを開けることが浮かないことなのかは右シーンのあとにわかります。
つまり左シーンはこの右シーンの伏線ということになります。

また、そのほかにも「桜の国(1)」P46の友人の表情や
次ページの紙吹雪も後のシーンの布石となるシーンが描かれています。
伏線はストーリーを構成するなかで不可欠の要素です。
みなさんもお気に入りの漫画でみつけてみてはいかがと思います。

キャラの配置よる心理描写・比喩表現

おつる

上記は「夕凪の街」P24〜P25にかけて
過去の呪縛から逃れようとするも結局逃れられないという表現です。
ちなみに説明用にわかりやすくすると下の図のような感じになります。
20060225015213.jpg

上へ上へと向かって進んでいく主人公ですが何者かに引っ張られ速度をとめられ
て最終的には落下します
。(コマが反転しているのは上昇落下を効果的にみせるため)
結局逃れようとしても逃れらないという心理描写を見事にあわらしています。

また、比喩表現として
ススキが手(過去の記憶の象徴)となっていくのにも注目です。

読者の目をひく表現
視覚をけす

上記は「夕凪の街」P32の一部です。
全体を見ると下の図のようになります。
kokoko.jpg

ここでは空白コマの連続によって読者の視覚を奪い(本書と同じ状況にする)、
直接セリフだけが読者に伝わるようにしています。

また空白コマの連続後にシンプルな言葉をもってくることではっとさせ
次のコマに深い印象を与えます。

痛い→次コマに何が痛いのか説明
嬉しい?→次コマで何に対して嬉しいのか説明

(参考)空白に文字だけという表現は「最終兵器彼女7巻P266」にも見られる表現でもあります。


実はまだまだ深く読める部分があるのかもしれませんが…
まだまだ勉強中の身です…とりあえずここまでにしておきます。。

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この記事へのコメント
考えて読むといろいろ見えてくるんですねえ
僕ももうちょっと考えて読もうと思います

とはいえ最近はギャグ漫画ばっかりなので
音速丸やサスケが考えてるようなことが
頭にめぐってますが(笑)
ミーナ | URL | 2007/11/05/Mon 23:33 [EDIT]
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