へウレーカ
漫画データ
「へウレーカ」
画・作:岩明均
連載期間:2001年〜2002年 / 掲載誌:ヤングアニマル
単行本巻数:全1巻 / ジャンル:歴史
(ストーリー)4 (絵)3 (キャラクター)4 (テーマ性)5 (関連・影響)1
個人的おすすめ度 ★★★+
あらすじ・概要
紀元前216年カルタゴ軍の司令官ハンニバルはローマ軍に圧倒的な勝利をみせる。
ローマの同盟国シラクサはこの戦いを期にカルタゴに寝返り、ローマ軍の報復を受けるが…
シラクサに住むスパルタ人青年「ダミッポス」が戦争の当事者である司令官エピキュデス、天才数学学者アルキメデスなどの人物を通じて、戦争を体験していく物語。
感想
( ´ー`) 岩明均最高です
寄生獣でその名をとどろかせた岩明均の歴史漫画。
現在アレクサンダーの秘書官を描いた「ヒストリエ」を連載中で、この作品はいわばその練習(つかみ)がわりに書かれたという位置づけのようですが…感想としては
コンパクトにまとまっていて非常に良い作品。なにより紀元前の世界史を描いたのには目新しい感じがしたのと、1巻完結ということもあり、ストーリーの構成に無駄がなかったという印象が強く残りました。
内容について一言で述べると『無常』という言葉が当てはまります。
主人公は人より少しかっこよくて、人より少し機転の利いて、人より少し口の達者な青年。あくまで戦争を起こす当事者という立場ではなく、それを冷静に見つめる部外者としての視点で、また恋人を助けるという動機だけで動く一市民として描かれる一方で、後半部分では戦争のある意味での当事者となり、無関心だった視点から一気に戦争を自分のものとしてはじめて認識することになる。
『あんたらはすげぇよ』『でももっと…ほかにやる事ァないのか?』
ぽつりと主人公が言い放った最後の言葉は無常感を端的に表したそんな一言だと思います。
また、寄生獣は人類とは?といったテーマをつきつけた作者でしたが、出来事を単につづった歴史物の本作品においても一定のテーマ性を与えています。「人は同じことを繰り返す」という問いかけがそれです。この作品はギリシア・ローマ時代をつづったものだが、ここで展開される出来事や登場人物は現代にあてはめてみることも、また第2次世界大戦時にあてはめることもできる。
例えば連載されていた2001年は世界的にみても激動の時代だといえました。
なにがあったか?
アメリカの同時多発テロその後のアフガニスタンへの攻撃などなど…です。
本作品に登場する無機質な兵器は現代の兵器とてらしあわせることもできるし、司令官の言葉に熱狂する市民たち、少数が多数の命を握る現実。戦争に参加しているのにそうとも思わない(戦争に現実感のない)人間たち。また主人公ですら自分自身に災厄が降りかかるまで現実感のない戦争と対峙している。そしてこれらは現代にもあてはめることができます。
つまり歴史は繰り返される…
とかなりかたい書きくちになってしまいましたが
昔も今も何も変わっていないんだと感じさせるそんな作品であり、同時に歴史物は岩明均の持ち味が存分に活きるジャンルだと思います。世界史が好きな方は当然のこと、1冊完結なので気軽に読めますので是非。
(´ー`) しかしアルキメデスの開発した兵器の発想力には驚かされます。一見の価値ありです。(この場合岩明の発想力がすごいといえるが…)
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